2025-09-03
RNA編集技術と新規薬剤送達技術を活用し、新たながん治療法開発を目指す研究がAMED事業に採択
~福岡大学、東京理科大学との共同研究で、がん細胞選択的なRNA編集技術の確立を目指す~
東京科学大学 国際医工共創研究院 TIDEセンターの程 久美子 センター長/特任教授は、同センターの和田 猛 特任教授(東京理科大学 総合研究院 核酸医薬研究センター長、薬学部 生命創薬科学科 教授)、東京理科大学 総合研究院 核酸医薬研究センターの櫻井 雅之 准教授(生命医科学研究所)とともに、福岡大学理学部化学科の福田 将虎 准教授が研究代表者を務める国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(次世代送達技術を用いた医薬品研究開発)」における研究課題「Fol-Dab/RNA編集核酸によるがん細胞選択的RNA編集技術の開発」(通称:FDRプロジェクト)に採択されました。
本研究では、福岡大学で開発された「RNA編集核酸」と東京理科大学で開発された新しいデリバリー技術「Fol-Dab」を組み合わせ、かつ東京科学大学のもつ核酸医薬開発技術を取り込んで、がん細胞に選択的に作用する革新的な核酸医薬の開発を目指します。
従来の核酸医薬では、標的細胞への送達効率の低さや、正常細胞への非特異的な作用が課題とされてきました。また、がん治療においては、副作用を抑えながら効果的にがん細胞のみを狙う技術が求められています。
RNA編集核酸は、細胞内のRNAの特定部位を人工的に書き換えることで、病気の原因となる遺伝子の働きを制御できる次世代型の核酸医薬です。「Fol-Dab」は、がん細胞表面に特異的に発現する分子を標的とし、核酸分子をがん細胞に効率よく送り届けるための新しいデリバリー技術です。
本研究では、これらの先端技術を融合させることで、高い選択性と安全性を両立するがん治療用RNA編集核酸の開発を目指します。
本研究により、治療が難しい遺伝子変異をもつがんに対して、より効果的で副作用の少ない新たな治療法の実現が期待されます。
■ 事業名等
事業名:次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業
領域名:次世代送達技術を用いた医薬品研究開発
公募研究課題名:開発候補品のリード最適化研究
研究開発課題名:Fol-Dab/RNA編集核酸によるがん細胞選択的RNA編集技術の開発
■ 研究開発期間
令和6年12月16日から令和12年3月31日(予定)
■ 研究開発者
研究開発代表者:
福田 将虎(福岡大学 理学部化学科 准教授)
研究開発分担者:
和田 猛(東京理科大学 薬学部生命創薬科学科 教授)
櫻井 雅之(東京理科大学 研究推進機構生命医科学研究所 准教授)
程 久美子(東京科学大学 国際医工共創研究院 核酸・ペプチド創薬治療研究センター 特任教授)
■ リンク
「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(次世代送達技術を用いた医薬品研究開発)」の採択課題について
(国立研究開発法人日本医療開発機構ウェブサイト)
■ お問い合わせ
東京科学大学 核酸・ペプチド創薬治療研究センター(TIDEセンター)
特任教授 程 久美子
Email: tei.kumiko@tmd.ac.jp